第5期修了生の声

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IR担当者向け実践プログラムでの学び
 
亜細亜大学 企画部経営企画課

北川 卓也

自大学の教育研究活動や大学運営の向上を目指して、データを活用した意思決定支援を機能的に行えるよう、IRに必要な能力を体系的に身につけたいと考え、本プログラムを志望しました。大学評価や自己点検活動、教育・研究、学生募集など様々な取り組みから、データに基づいた意思決定が重視され、IRの重要性がより高まってきました。現在所属している経営企画課では大学評価とIRを兼務していますが、IRに関しては担当者に求められるスキルを基礎から学んだ経験はなく、Excelを使用したデータ集計に留まっている状態でした。単純なExcel作業でも今までの処理方法が正しいのか、IR担当者としてのデータの扱い方、IRが求められてきた背景、他大学の状況などわからないことが多かったため、IR担当者に必要な能力を体系的に身につけられる本プログラムを受講しました。
 

本プログラムではIR担当者に必要な5つの要素(高等教育機関を取り巻く文脈、アセスメント、データマネジメント、データ分析、情報提供)を体系的に学習することができます。講義の冒頭で、データ分析はあくまでも要素の一つであり、これらの要素を網羅的に身につけていることがIR担当者には大切ということを強く意識できました。

プログラムの受講はオンデマンド講義(自主学習)と、月1回のオンラインでのリアルタイム授業で構成され、半年間受講しました。オンデマンド講義では、IR入門としてIRとは何か、日米でのIRの解釈等からはじまり、IRに係る高等教育政策や他大学事例、データマネジメント、Rによるデータ処理の効率化、データの可視化、レポーティングなど、幅広く学習します。リアルタイム授業では、グループディスカッションや、テーマに沿ったプレゼンテーションを各受講生が行います。

本プログラムで大きく身についたものは以下の3つです。

  1. データを分析に適した形にすること
    データ分析には、まずデータを分析できる形、「Tidy(タイディー)」なデータにすることから始まります。大学では各部局がデータを扱っており、データの書式や使い方は担当者により異なります。はじめから分析ができる状態ではないこともあるため、分析に適したデータはどのような形か、どのように整理するのかを理解することができました。
     
  2. Rを使用したデータ処理の効率化
    統計解析ソフトのRを用いて、分析したいデータセットから必要な情報を抽出したり、GPA算出等の計算、データの結合など様々な作業をプログラミングで効率よく処理します。RはExcelと異なり、使用するデータを直接更新しないので基本的なヒューマンエラーが起こりづらいこと、1度作成したコードを流用できるので応用が効くことなどメリットが多いです。Excelであれば他の担当者が処理した手順がわかりづらいですが、Rではコードの確認が容易なので作業の再現性があることも大きなメリットと感じています。
     
  3. プレゼンテーション能力
    IR担当者にはデータに基づいた分析結果を依頼者、または学内関係者に説明するプレゼンテーション能力も求められます。これまで私はWordによる会議資料作成をすることが多く、発表する経験はあまりありませんでした。どのような説明にしたほうが良いのかも全くわからない状態でしたが、リアルタイム授業のプレゼンテーションを繰り返すことで、スライド構成やグラフの使い方、エグゼクティブサマリー(要約)、聴衆者を意識した資料作成など目に見える成果が現れたと感じています。指定のデータを使い、分析から発表まで行いますので、より実践的な経験になりました。中間・期末フィードバックの機会を任意でいただけたので、アドバイスを次のプレゼンテーションに取り入れ、意欲的に取り組むことができました。

本プログラムを終え、今後の課題として、学んだ知識・スキルを自大学のIR担当者間で共有し、自分のスキルアップだけでなく、学内のIR全体のレベルアップを目指していきたいと考えています。大学の文化や担当者によって考え方は異なりますが、IRは業務の性質上、属人化しやすく、人事異動によりノウハウが途切れてしまう可能性があります。長期的なIR活動には組織単位のレベルアップが必要です。スキル面であればRやBIツールの習得、環境面ではデータウェアハウスの構築によるデータ管理など課題は山積みです。本プログラムの学びで満足せず、学内外の様々な分野に挑戦していくつもりです。

最後に本プログラムの講師の方々や事務局、そして受講生の皆様に感謝申し上げます。今後、情報をもらうだけではなく、本学から情報提供ができるようIR担当者としての知見、能力を向上できるよう目指していきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いします。

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